|【後編】
オフィス環境をとりまく物理的・心理的課題の深層を探る「キーワードマップ」
前編はこちら
https://www.r-live.co.jp/column/office-improvement-ver1/
後編では、前編で抽出した上位検索キーワードについて、KWTOOLで自動生成される「キーワードマップ」を用いた分析結果をご紹介します。このキーワードマップは、検索キーワードを中心に、Web上の膨大な情報から関連する単語をキーワードとして抽出し、関連性の強さを中心からの距離、検索数の多さを円の大きさで示したものです。
それぞれの円には下記が含まれています。
・経済規模:キーワードに関してどの程度市場があるかを予想した順位付け
・クエリ:別のキーワードとの組み合わせで検索された組み合わせパターンの総数
・検索/月:キーワード自体の検索数に組み合わせ検索を加えた検索総数
これにより「オフィス環境」をとりまく深い物理的・心理的課題に迫ってまいります。
それでは、キーワードマップを見ていきましょう。
「レイアウト」「デザイン」「移転」のキーワードマップで探る オフィス環境のトレンド
・「オフィスレイアウト」のキーワードマップ
「オフィス改革事例」「事務所内装工事」「オフィス移転プロジェクトマネジメント」「ゾーニング」(※3)など、多くの方が改善事例を検索したり、オフィス移転をどのように進めるかを検討したり、工事などの発注先を探している様子が伝わってきます。
「テレワーク」「フリーアドレス」など、コロナ禍前後で定着したキーワードは大きめの円で、オフィスレイアウトを考える方の検討要素としても定着化したようです。「abw」(※1)、「ワークブース」などもマッピングされ、「働き方改革」の潮流において、日本の伝統的なオフィスレイアウトである「島型」、「対向島型(たいこうとうがた)」(※3)がレガシーになりつつある様子が窺えます。
「快適」「視線」「集中」など、オフィスレイアウトについて、オフィス移転やワークスペース改革の担当者や、一般社員が気にしていると思われる、心理的・感覚的要素に関するキーワードも見受けられます。
「オフィスレイアウト」と重なるキーワードが多く検出されました。ひときわ目を引くのは
「コワーキングスペース」。テレワークの定着化により一気に増大し乱立状態となっている中、デザインを重視するオーナーやユーザーが増えているのかも知れません。「バイオフィリックデザイン」もマッピングされています。
「オフィスレイアウト」「オフィスデザイン」と類似したキーワードが抽出されましたが、「居心地」「社内コミュニケーション」など、心理的要素に近いキーワードが浮上しました。慣れ親しんだオフィスを引っ越し、大きく環境が変わる移転に際しては特に、「居心地」の良さや、「社内コミュニケーション」が円滑にとれる環境であるかが重視されていることが読み取れます。
社員のストレス低減のために、オフィス環境改善で重視すべきこと
オフィスの物理的課題に関連するキーワード検索数において、「ネガティブな検索キーワード」トップ2のキーワードマップを並べてみると、いずれも「だるい」「緊張」「原因」などが大きくマッピングされました。生真面目な社員が、常にだるさや動悸を感じて、ストレスが原因ではないかと検索、そんなシチュエーションが浮かびます。
「職場ストレス」には「組織」「先輩」「ハラスメント」などがマッピングされ、上司・同僚・部下といった職場の人間関係に起因するプレッシャーで苦しんでいる人が多いことが窺えます。そしていずれも「コミュニケーション」が大きくマッピングされています。
続いて「ポジティブな検索キーワード」第1位の「ホワイト企業」を見てみましょう。
「職場」「衛生」「残業」「離職」「有給」など、ホワイト企業のオフィスや働き方から理想的なオフィス環境や、改善事例のヒントを得ようと検索している方が多いと推察されます。「dx」「デジタルトランスフォーメーション」もオフィス環境改善においてトレンドであることが窺えます。
従業員満足度を左右する「居心地」「社内コミュニケーション」
ここで、第1回で紹介した、「オフィス環境にまつわるポジティブな検索キーワード上位」と「オフィス環境にまつわるネガティブな検索キーワード上位」をもう一度ご紹介します。
順位 | 単語 | 検索件数[件/月] | 順位 | 単語 | 検索件数[件/月] |
1位 | ホワイト企業 | 11880 | 1位 | 仕事ストレス | 17730 |
2位 | モチベーション 仕事 | 6480 | 2位 | 職場ストレス | 2280 |
3位 | バイオフィリックデザイン | 1920 | 3位 | ストレス職場 | 2280 |
4位 | 社内コミュニケーション | 1670 | 4位 | 仕事集中 できない | 1920 |
5位 | アットホームな職場 | 1560 | 5位 | 会社 パワハラ | 1739 |
6位 | 職場コミュニケーション | 1267 | 6位 | 人間関係 職場ストレス | 1560 |
7位 | 働きがいのある会社 | 1060 | 7位 | 居心地悪い職場 | 864 |
8位 | 仕事のやりがい | 1030 | 8位 | 職場居心地悪い | 864 |
9位 | 仕事集中音楽 | 384 | 9位 | 職場パワハラ | 798 |
10位 | メンタルヘルス 会社 | 312 | 10位 | 職場 孤独 | 486 |
11位 | 職場メンタルヘルス | 252 | 11位 | 職場 居心地悪い | 384 |
12位 | 居心地のいい職場 | 204 | 12位 | 会社 孤独 | 317 |
13位 | モチベーション 会社 | 204 | 13位 | 仕事 緊張 | 312 |
14位 | 働きがいのある職場とは | 204 | 14位 | パワハラ 企業 | 211 |
15位 | 会社 雑談 | 84 | 15位 | 会社 居心地悪い | 204 |
16位 | リラックス 会社 | 60 | 16位 | 仕事集中続かない | 168 |
17位 | 仕事集中 bgm | 60 | 17位 | 静かすぎる | 108 |
18位 | オフィスデスク 快適 | 48 | 18位 | 職場 緊張 | 84 |
19位 | 職場メンタルヘルスケア | 37 | 19位 | パワハラ 職場環境 | 60 |
20位 | 職場 雰囲気づくり | 36 | 20位 | オフィス静か | 24 |
ポジティブな検索キーワード上位には「コミュニケーション」、ネガティブな検索キーワード上位には「居心地(悪い)」が複数含まれています。この2つのキーワードは、これまで見てきたキーワードマップで注目してきたキーワードと一致します。
それでは「(職場の)居心地」「社内コミュニケーション」をとりまく「声にならない声」に耳を傾けるべく、この2つのキーワードマップを見てみましょう。
「職場居心地」は「苦しい」「苦手」「失敗」といった叫びのようなキーワードが並ぶ一方で「モチベーション」「乗り越える」「話しかける」「雑談」といった、打開策ともとれる前向きなキーワードがマッピングされています。職場の「居心地」に課題を抱え、それを打開したいと考えている方が多く存在することを物語っているのではないでしょうか。
「社内コミュニケーション」は、「職場活性化」「ポジティブ」「信頼」などコミュニケーションの活性化により期待できる効果や「社内報」「社内sns」「交流」など、コミュニケーションを活性化するための方法に関するキーワードが数多くマッピングされました。「社内コミュニケーション」が理想的なオフィス環境の重要な要素であり、多くの方が活性化の方法を探っている実態が読み取れます。
沈黙は「圧」なり? 「静かすぎる」オフィスがいけない理由
前編で、一見仕事に集中できそうな「静かすぎる」オフィスが、ネガティブに検索されていることに触れました。最後に「静かすぎる」オフィスで働く人が検索窓に打ち込む「叫び」を可視化し、「静かすぎる」オフィスが与える影響を見てみましょう。
「孤独」「鬱病」「辞める」、物々しいキーワードが並びました。「咀嚼」は咀嚼音まで筒抜けの状況でしょうか。同僚とも会話もままならず、活気があるはずもなく、キーボードのタッチ音や、上司の咳払い、ささいな雑音が必要以上に気になり気が滅入ってしまいそうです。
さらに「パワハラ」「ハラスメント」「緊張」と、静かすぎることによって「圧」のようなものを感じてしまう方がいることが読み取れます。「無言の圧力」のような状況を生み出してしまっているとしら、特に上司・部下の良好な人間関係は築けそうにありません。
「bgm」が大きくマッピングされていることから、多くの人がオフィスに音や音楽を求めている実態が読み取れ、働く人にとって「音」「音楽」が不可欠な要素あることを示すマップといえるのではないでしょうか。
「音」で、多くの社員が望む理想的なオフィス環境を実現しませんか?
R-LIVEは、独自技術で通常では聴こえない20kHz以上の森の原音を録音し、日常の生活空間での再生を可能にし、人間にとっての居心地の良さの実現に成功した、音響空間デザインシステムです。今回の調査で、多くの人がオフィス環境に望むものとして明らかになった「居心地の良さ」を深いレベルで実現することで、「社内コミュニケーション」の活性化、さらには働き方改革・健康経営、イノベーション・生産性向上、従業員満足度向上などにも貢献するソリューションとして、導入各社様に高い評価をいただいております。
オフィスレイアウト、オフィスデザイン、オフィス移転といった「オフィス環境改善」に関する浅いレベルの検索にかかる状況ではない中、このページを探し当ててくださった特別な皆さまに、森や川のせせらぎの原音を、まるでそこにいるかのように、空気感までリアルに再現するR-LIVEをぜひ体験いただきたく、まずはお問い合わせいただければ幸いです。
(※1)abw(activity based working)。集中力を要する仕事はブースや背中合わせのワークスペース、コミュニケーションが必要な場合は会議室やラウンジを活用するなど、そのときの仕事に合わせてワークスペースを選ぶこと。
(※2)国内唯一の認定制度「ホワイト企業認定」を展開する一般財団法人日本次世代企業普及機構(通称:ホワイト財団)では、「家族に入社を勧めたい次世代に残していきたい企業」と定義し、マークを付与しています。就職四季報が運営するサイトなど一般的には離職率、残業時間、福利厚生などが評価指標となっています。
(※3)ゾーニングとは、空間をテーマや用途に分けて考えること。主にエントランス、会議室、応接室、執務室、休息スペースなどを動線も視野に配置するもので、オフィスレイアウトを考える際に、初めにゾーニングを行うケースが多いといわれています。
(※4)島型、対向島型レイアウト…部署ごとにデスクを対向させて社員同士が向かい合い、端に上長を配置させるオフィスレイアウト。