オフィスの物理的課題が働く人の心理的要素に与える影響を探ること目的に行った調査について、前編・後編の二本立てでレポートいたします。
前編では、オフィス環境をとりまく物理的課題に関するキーワードについて、検索件数のランキングを行い、さらにそのキーワードと一緒に検索された心理的要素を示す言葉について、ポジティブな言葉、ネガティブな言葉を抽出し、それぞれについてランキングを行い、分析した結果をご紹介します。
後編では、前編の検索上位キーワードについて、さらに一緒に検索されたキーワードを抽出し、関連性の強さを可視化したマップを作成、そこからオフィス環境をめぐる物理的課題と働く人の心理的要素の関係を分析し、課題解決、オフィス環境改善のためのソリューションについて考察します。
|【前編】
検索キーワードからオフィス環境における物理的・心理的課題を探る
コロナ禍を経て、リモートワーク、フリーアドレス、abw(※1)など、ワークスペースやワークスタイルの多様化が進み、オフィス環境改善を考える機会が増えたのではないでしょうか。改善事例をリサーチ中の方もいると思います。皆さまのオフィス環境改善を実のあるものにするため、働く人がオフィス環境について何を想い、悩み、求めているかを追究し、適切なソリューションを提案すべく、Google検索でどのようなキーワードが1か月当たり何件検索されているかを解析する「KWTOOL」(キーワードツール)を用いて調査しました。
オフィスの引っ越しや改装に先立ち、社内アンケートが行われることもありますが、本音が書けない方、適当に回答する方も多いと推察されます。これに対しGoogleの検索窓に入力される文言には、公式なアンケートに書けない生の声や、妄想レベルの要望も書き込まれていることが推察されます。そこで実際に検索されている文言を定量化・可視化することで、多くの働く人々の深いニーズに迫り、オフィス環境改善のヒントにしたいと考え、本手法による調査と分析結果の公開に至りました。ぜひお役立ていただけましたら幸いです。
本調査は、オフィス環境改善をとりまく、脳内レベルに近い「生の感情」を抽出することを目的に、下記の手法で実施しました。
STEP1:
オフィス環境改善を考えている方がGoogle検索すると推察される「物理的課題」に関するキーワードを120語程度リストアップし上位20位までランキングを実施。
STEP2:
「STEP1」のキーワードと一緒に検索されたキーワードをKWTOOLで抽出。その中から、人の心理や感情に関する「ポジティブな言葉」と「ネガティブな言葉」を抽出し、上位20位までランキングを実施。
STEP3:
「STEP1」「STEP2」の検索上位のうち、AND検索や組み合わせ検索が予想されるキーワードについて、一緒に検索されたキーワードをKWTOOLで抽出しマップを生成。検索上位キーワードを中心に、関連性の強さを中心からの距離、検索数の多さを円の大きさで示したもので、ここでは「キーワードマップ」を呼びます。
それではまずSTEP1、STEP2について、詳しく結果を見てみましょう。
<オフィス環境にまつわる物理的課題の検索上位キーワード>
順位 | 単語 | 検索件数[件/月] |
1位 | オフィスレイアウト | 5280 |
2位 | オフィスデザイン | 3480 |
3位 | オフィス移転 | 1920 |
4位 | サウンドマスキング | 1560 |
5位 | オフィスインテリア | 1471 |
6位 | デザインオフィス | 864 |
7位 | オフィスbgm | 576 |
8位 | オフィス環境 | 468 |
9位 | オフィス休憩スペース | 468 |
10位 | オフィス設計 | 468 |
11位 | オフィスリニューアル | 252 |
12位 | オフィス内装 | 211 |
13位 | オフィス音楽 | 204 |
14位 | オフィス空間デザイン | 204 |
15位 | 防音ブース オフィス | 204 |
16位 | 職場bgm | 132 |
17位 | オフィス環境音 | 60 |
18位 | オフィスの音 | 36 |
19位 | オフィス音響 | 36 |
20位 | 働き方改革オフィス | 24 |
トップ10には、1位「オフィスレイアウト」、2位「オフィスデザイン」、3位「オフィス移転」、5位「オフィスインテリア」、9位「オフィス休憩スペース」など、オフィスの改装や移転と関連の深いキーワードが並びました。昨今、比較的大規模なオフィスの環境改善を検討している企業が多く、「ワークスペース変革元年」ともいえる状況かも知れません。
4位「サウンドマスキング」、7位「オフィスbgm」、13位「オフィス音楽」、15位「防音ブース」、16位「「オフィス環境音」、18位「オフィスの音」、19位「オフィス音響」など、音や音楽に関するキーワードが検索上位20位のうち7件と、多数ランク入りしていることが確認できます。オフィス環境において、音に課題を抱えている方が多いこと、音が大きな要素であることを物語る結果となりました。
<オフィス環境にまつわるポジティブな検索キーワード上位>
順位 | 単語 | 検索件数[件/月] |
1位 | ホワイト企業 | 11880 |
2位 | モチベーション 仕事 | 6480 |
3位 | バイオフィリックデザイン | 1920 |
4位 | 社内コミュニケーション | 1670 |
5位 | アットホームな職場 | 1560 |
6位 | 職場コミュニケーション | 1267 |
7位 | 働きがいのある会社 | 1060 |
8位 | 仕事のやりがい | 1030 |
9位 | 仕事集中音楽 | 384 |
10位 | メンタルヘルス 会社 | 312 |
11位 | 職場メンタルヘルス | 252 |
12位 | 居心地のいい職場 | 204 |
13位 | モチベーション 会社 | 204 |
14位 | 働きがいのある職場とは | 204 |
15位 | 会社 雑談 | 84 |
16位 | リラックス 会社 | 60 |
17位 | 仕事集中 bgm | 60 |
18位 | オフィスデスク 快適 | 48 |
19位 | 職場メンタルヘルスケア | 37 |
20位 | 職場 雰囲気づくり | 36 |
オフィスの物理的課題と一緒に検索されている、ポジティブなキーワードのトップは「ホワイト企業」(※2)でした。「ホワイト企業」のオフィスを改善事例として検索する方が多いと推察されます。
人間は自然とつながりたい本能的欲求があるという考え方に基づいた「バイオフィリックデザイン」が上位に。空間デザインやオフィス家具などに、自然の要素、緑だけではなく、自然の音や香りなどを取り入れ、五感を刺激することを目指すもので、日本でも関心が高まっていることを示す結果となりました。
<オフィス環境にまつわるネガティブな検索キーワード上位>
順位 | 単語 | 検索件数[件/月] |
1位 | 仕事ストレス | 17730 |
2位 | 職場ストレス | 2280 |
3位 | ストレス職場 | 2280 |
4位 | 仕事集中 できない | 1920 |
5位 | 会社 パワハラ | 1739 |
6位 | 人間関係 職場ストレス | 1560 |
7位 | 居心地悪い職場 | 864 |
8位 | 職場居心地悪い | 864 |
9位 | 職場パワハラ | 798 |
10位 | 職場 孤独 | 486 |
11位 | 職場 居心地悪い | 384 |
12位 | 会社 孤独 | 317 |
13位 | 仕事 緊張 | 312 |
14位 | パワハラ 企業 | 211 |
15位 | 会社 居心地悪い | 204 |
16位 | 仕事集中続かない | 168 |
17位 | 静かすぎる | 108 |
18位 | 職場 緊張 | 84 |
19位 | パワハラ 職場環境 | 60 |
20位 | オフィス静か | 24 |
見るだけで息が詰まるようなキーワードが並びました。「仕事 集中できない」といった叫びにも似たキーワードも。オフィス環境に課題を抱え、検索している人々の苦しみが伝わってきます。
オフィス環境に関するネガティブなキーワードとして17位に「静かすぎる」、20位に「オフィス 静か」が浮上しました。対照的に、前段のポジティブなキーワードとして8位に「仕事集中音楽」、17位に「仕事集中 bgm」がランクインしており、特に仕事に集中するうえで、人々が音や音楽を欲していると推察できます。
一方で、むしろ仕事に集中できそうな「静かすぎる」オフィスが、なぜネガティブに用いられているか、掘り下げてみる必要がありそうです。
オフィスの物理的、心理的課題を一挙解決する切り札としての、「音」
オフィス環境に関する検索キーワード調査から、「オフィスレイアウト」「オフィスデザイン」などに並び、多くの方が「オフィス bgm」「オフィス音楽」あるいは「サウンドマスキング」を検索し、これを深掘りした調査では「仕事集中音楽」など、音に関する課題意識を持ち、ワークスペースにふさわしい音や音楽を求めている実態が読み取れました。
都市空間に森の原音を再生するR-LIVEは、オフィスの音にまつわる物理的課題を解決し、「仕事集中音楽」といったポジティブな要望を満たし、心理面でネガティブなインパクトを与えてしまう「静かすぎる」オフィスも解消できる音響空間デザインシステムです。特別な音響設備の工事を必要とせず、気軽にスペースの環境改善を実現する、おそらく唯一無二のソリューションです。まだ「オフィスレイアウト」などのメジャーな検索には引っかからない状況において、このページを読んでくださっている皆さまは、オフィスの環境改善について、深いレベルの知識と課題意識から検索を重ね、探し当ててくださったものと思います。
自然の要素を採り入れることで社員が本来の力を取り戻し、生産性や創造性の向上が期待できるとして、グーグルやアマゾン・ドットコム本社がオフィスに採用し、日本でも注目が高まっているバイオフィリックデザインの一翼を担うソリューションで、導入各社様には、イノベーション創出やコミュニケーション活性化、従業員満足度向上、生産性向上のための仮眠スペースでの睡眠導入サポート、睡眠の質向上など、様々な目的で採用いただき、高い評価をいただいております。
後編では、このページを見つけてくださった特別な皆さまに向け、STEP1、STEP2の検索上位キーワードのうち、さらに深掘りした検索が予測されるキーワードについて、STEP3としてKWTOOLで関連するキーワードを抽出し、関連度や検索数を可視化したキーワードマップを用いて、オフィス環境をとりまく人々の「生の感情」「声にならない声」に迫りたいと思います。
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